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Quantum Alliance発足、ブロックチェーン9社が耐量子暗号の標準策定へ

ブロックチェーン関連9組織が10月16日、標準化団体Quantum Allianceを発足させ、「量子対応」の共通定義と公開ベンチマークの策定に乗り出した。Bitcoin供給量の約30.2%(約604万BTC)が量子攻撃のリスクにさらされているとの試算も示している。

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2026年10月19日, 21:36 JST1分で読めます
AI要約AI
  • ブロックチェーン関連9組織が10月16日、Quantum Allianceを発足した
  • Bitcoin供給量の約30.2%、約604万BTCが量子攻撃のリスクと試算
  • Google Quantum AIの研究は必要な量子ビットを50万個未満と見積もる
  • Coinbaseは10月13日、耐量子移行に数年を要すると警告した

ブロックチェーン9社が標準化団体を設立

ブロックチェーン関連9組織の幹部が10月16日(金曜日)、標準化団体「Quantum Alliance」の発足を発表した。業界にとって「量子対応」とは何を指すのかを明確に定義し、耐量子暗号への移行に向けた共通の基準を設けることが目的だ。設立メンバーには基盤プロトコル、プライバシーネットワーク、ロールアップ、ハードウェアウォレットメーカー、セキュリティ監査業者、量子コンピューティングインフラ事業者が名を連ね、相互互換性を壊さずに各プロジェクトが移行できる共通標準の策定を掲げている。

急いで取り組む必要がある背景には、主要チェーンの資産保護の仕組みがある。Bitcoin、Ethereumをはじめ大半のネットワークは楕円曲線署名で資産を守っており、各トランザクションは公開鍵を台帳上に恒久的に残す。十分な計算能力を持つ量子コンピュータがShorのアルゴリズムを動かせば、露出した公開鍵から秘密鍵を導き出し、資金を移動できる。同じ署名方式がステーブルコイン発行者の鍵、dappのガバナンス契約、ブリッジ、オラクルのデータ供給も守っているため、管理鍵が一つ破られると損失が複数のプラットフォームに波及しかねない。

アライアンス自身の試算では、Bitcoin供給量の約30.2%(約604万BTC)が量子攻撃のリスクにさらされている。時価総額が約2.9兆ドルに達する暗号資産市場全体が、旧来の署名方式に強く依存している実態もある。発足発表の中で同団体は、最初の実用的な量子攻撃を2028年頃に置く予測が増えていると指摘し、寄与メンバー2名が構築したモデルは2028年3月を早期警戒の日付としている。また、Google Quantum AIの研究は、Bitcoinの暗号を解読するのに必要な量子ビットが50万個未満だと見積もっている。

同団体が埋めようとしているのは、定義の欠落だ。米国標準技術研究所(NIST)は2024年8月に最初の耐量子暗号標準を正式化したが、ブロックチェーン業界は量子耐性をどう定義し、まして検証するかについて合意したことがない。

4つの作業部会と公開ベンチマーク

設立メンバーはQuantus、American Fortress、Intmax、Keystone、Midnight Foundation、Postquant Labs、Abelian、The Vault、Hackenの9者。最初の成果物として、「量子対応」の定義文書を公開する。対象はトランザクション署名、鍵管理、バリデータ間の合意形成、ゼロ知識証明システム、ピアツーピア接続に及ぶ。併せて、各開発チームが自らの実装に対して実行できる公開テスト基準とベンチマークの整備を計画している。

作業は4つの作業部会が担う。ブロックチェーン移行部会は、既存ネットワークを耐量子方式へ移す方法を検討する。公開鍵がすでに露出している資産や、事後的に保護できない休眠アカウントの扱いも議題だ。第2部会はゼロ知識システムの量子脆弱性を評価し、第3部会はウォレットでの耐量子鍵の生成、保管、署名、復元に関する共通仕様を定める。第4部会はクロスチェーン互換性の相互運用ルールを策定する。Wormholeのようなブリッジが属する領域であり、チェーンをまたいでセキュリティ水準に一貫性を持たせる狙いだ。

成果物はすべて公開され、プロジェクトはそのまま採用できる。個人開発者や研究者も参加可能で、提案は企業の規模やトークン保有量ではなく、公開された証拠と動作するコードに基づいて議論される。アライアンスは移行設計の参考資料も公開する予定で、耐量子署名がもたらすデータ肥大化への対処も含まれる。署名サイズの増大はトランザクションコストを押し上げるからだ。

迅速な対応を求める圧力は仮定の話ではない。Coinbaseは10月13日(火曜日)、Bitcoinの耐量子移行には数年を要する可能性があると警告し、早期の準備を呼びかけた。ネットワークルールの変更、ウォレット更新、各サービスの調整を勘定に入れると、署名方式の変更にどれほど時間がかかるかを示す見方だ。QuantusのCEOであるChristopher Smith氏はアライアンスの発足発表の中で、耐量子暗号は最終的に単に「暗号」と呼ばれるようになると述べ、難しい移行判断に備えて即戦力となる標準を用意したいとしている。

当編集部の読みでは、アライアンスの真の貢献は新しい脅威モデルではなく、検証レイヤーの提供にある。現時点でプロジェクトは量子対応を主張できても、それを証明する合意された方法がなく、取引所やカストディアンは相手方リスクを評価する際に推測に頼らざるを得ない。実行可能なベンチマークを伴う公開定義は、Hackenのような監査業者に検証対象を与え、移行に数年を想定する大手ネットワーク向けのチェックリストにもなる。残る課題は採用だ。BitcoinとEthereumのクライアントチームおよび主要ウォレット提供者がベンチマークを参照テストとして扱わなければ、標準は形骸化する。初めての公開での対応性評価が実施されるかが今後の注目点となる。

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