用語集概念
TradFi(伝統的金融)とは?
TradFi(トラッドファイ、伝統的金融)とは、銀行・証券取引所・証券会社・保管振替機関などで構成され、当局の免許と監督のもとで動く従来型の金融システムのことです。暗号資産の分野では、ブロックチェーン上の市場やDeFiと区別するためにこの言葉が使われます。
最終更新 出典
TradFi(伝統的金融)とは?
「TradFi」は英語の traditional finance を縮めた言葉です。預金や融資、株式、債券、投資信託、商品(コモディティ)、為替といった、暗号資産が登場する前からある金融の世界全体を指します。共通点は、取引の間に免許を持つ仲介者が入ることです。お金は銀行が預かり、株式の持ち主は証券会社と証券保管振替機構が記録し、注文は取引所で約定し、決済は清算機関が完了させます。
暗号資産のニュースでは、比較のための言葉として使われることがほとんどです。「TradFiから暗号資産ETFへの資金流入」といえば銀行や運用会社経由の機関投資家マネーを、「TradFiの取引時間」といえば平日の株式市場の立会時間を意味します。
TradFiを構成するプレーヤー
- 銀行:預金を集めて融資を行い、決済システムを運営します。中央銀行は金融政策と準備預金を通じて頂点に立ちます。
- 取引所:株式、ETF、先物、オプションなどの売り手と買い手を、決められたルールと時間の中で結びつけます。日本では東京証券取引所の立会時間が2024年11月5日から15時30分までに延びました。
- 証券会社:投資家の注文を取り次ぎ、口座を管理し、本人確認(KYC)や適合性の確認を行います。
- 保管・清算機関:誰が何を持っているかの公式な記録を管理し、売買代金と証券の受け渡しを完了させます。米国株の標準的な決済期間は2024年5月28日から「T+1」(約定の翌営業日)です。
- 規制当局:金融庁のような監督官庁が免許を与え、投資家保護のルールを執行します。
商品市場もTradFiの一部です。金は長い歴史を持つ代表的な資産で、国際価格は通常1トロイオンスあたりの米ドルで表示されます。
TradFi・暗号資産・DeFiの違い
| 項目 | TradFi | 中央集権型の暗号資産取引サービス | DeFi |
|---|---|---|---|
| 取引時間 | 平日の立会時間、休日は休場 | ほぼ24時間 | ブロックチェーンが動く限り常時 |
| 仲介者 | 銀行・証券会社・取引所・清算機関 | サービス運営会社 | スマートコントラクト |
| 資産の保管 | 銀行・保管機関 | 主に運営会社(自分のウォレットも可) | 利用者自身のウォレット |
| 決済までの時間 | 米国株はT+1 | サービス内では即時 | ブロック承認まで(数秒〜数分) |
| 利用条件 | 本人確認と口座開設が必要 | 多くの場合本人確認が必要 | 技術的にはウォレットがあれば利用可能 |
| 監督 | 長い歴史を持つ包括的な規制 | 国ごとに異なり、整備が進行中 | 限定的で不明確な部分が多い |
違いは技術だけではありません。TradFiでは、トラブルが起きたときの相談窓口、投資者保護の仕組み、裁判の手続きが整っています。暗号資産やDeFiでは取引を取り消すことができず、責任の多くを利用者自身が負います。その代わり、決済の速さ、24時間の取引、少額から参加できる手軽さがあります。
TradFiと暗号資産が交わるところ
両者の境界は年々あいまいになっています。主な接点は次のとおりです。
- トークン化:株式、債券、ファンド、金などの伝統的な資産をブロックチェーン上のトークンで表すことです。総称はRWA(現実資産)です。1社の株式を表すものはトークン化株式と呼ばれ、xStocksはその代表例の一つです。
- デリバティブ:株価に連動するものの株式は持たない株式無期限先物や、未上場企業を対象にした上場前(Pre-IPO)無期限先物が、暗号資産のインフラ上で取引されています。
- ファンド:暗号資産を組み入れたETFは、TradFiの投資家に証券口座を通じた値動きへのアクセスを提供します。
- 決済とお金:米ドル連動のステーブルコインの多くは銀行預金や短期国債で裏付けられています。中央銀行デジタル通貨(CBDC)も同じ議論の延長線上にあります。
国際決済銀行(BIS)は2025年の年次経済報告で、中央銀行マネーと国債が同じ基盤に載ることを条件に、トークン化が決済や証券市場を大きく変える可能性があると述べています。
日本でも、株式や社債などをトークンにしたセキュリティトークン(電子記録移転有価証券表示権利等)が2020年5月施行の改正金融商品取引法で位置づけられ、証券として規制されています。
TradFi資産の価格を確認する
株式、ETF、商品の価格を暗号資産と同じ画面で見ると、2つの市場の関係がつかみやすくなります。
- エヌビディア(NVDA)の株価と、同じ銘柄のチャートの節目を見るエヌビディアのテクニカル分析
- アップル(AAPL)の株価
- 金(XAU)の1オンスあたりの価格
- 一覧は米国株・ETF・商品の価格、指標のまとめは株式・商品のテクニカル概要
伝統的市場を動かす出来事はTradFiニュースで追えます。金利の決定、物価統計、企業決算は、TradFiと暗号資産の両方の価格を動かすことがあります。
注意しておきたいリスク
- 取引時間の違い:暗号資産は24時間動きますが、株式や商品の市場は週末に休みます。暗号資産のインフラ上にあるTradFi連動商品は、休場中に元の資産の価格とずれることがあります。
- 権利の違い:トークン化商品やデリバティブは、実際の株式が持つ議決権や配当の権利を必ずしも伴いません。
- 規制の違い:ある国で認められている商品が、別の国では制限・禁止されていることがあります。
- カウンターパーティーリスク:トークン化資産では、資産そのものと同じくらい発行体や保管機関の信頼性が重要です。
よくある質問
TradFiとはどういう意味ですか?
TradFiはtraditional financeの略で、銀行・取引所・証券会社・保管機関などからなる従来型の金融システムを指します。
TradFiとDeFiの違いは何ですか?
TradFiでは免許を持つ仲介者が取引を担い、資産は銀行や保管機関が預かります。DeFiでは仲介者の代わりにスマートコントラクトが動き、利用者は自分のウォレットで資産を管理します。
なぜ株式市場は週末に休むのですか?
取引所、証券会社、清算・保管機関、銀行の決済システムが営業日を前提に動いているため、それらが同時に稼働する時間帯に立会時間が設定されています。
TradFiの資産は暗号資産の世界でどう扱われていますか?
主に、資産を表すトークン(トークン化株式・金・ファンド)、価格に連動するデリバティブ(株式無期限先物)、暗号資産を組み入れたETFのような橋渡し商品の3つの形です。
暗号資産サービス上のTradFi商品は規制されていますか?
国と商品の構造によって異なります。トークン化された証券は多くの国で証券として扱われるため、特定の国の居住者には提供されない商品も少なくありません。
暗号資産はTradFiに取って代わるのですか?
現状は置き換えというより接近です。銀行や運用会社がブロックチェーンを試し、暗号資産企業が伝統的資産を取り込んでいます。どの形が主流になるかは規制と実際の利用次第です。

